疲れにくいチェアを安く手に入れるなら、中古のオフィスチェアが断然いい

最近椅子をコクヨのウィザードに買い替えました。
コクヨ Wizard (ウィザード) ハイバック肘なしチェアー
コクヨ Wizard (ウィザード) ハイバック肘なしチェアー
今まで備え付けの椅子でしたので、相当快適になりました。長時間作業も苦になりません。今回は僕の購入までの意思決定をモデル化してみました。
多分に主観を含み、限られた経験からの記述だということはご承知おきください。

チェア選びの重要性

この記事は効率化カテゴリにいれていますが、実際にチェアというのは作業効率に大きな影響を及ぼします。
僕も引っ越して備え付けの椅子を使うようになってから、度々腰の疲れで作業を中断し、作業効率がかなり低下しました。しかし、チェアは予想外に高価です。アーロンチェアやバロンチェアなんかの有名な椅子は、平気で10万円を越えてきます。
ただ、この差で毎日の作業時間が1時間変われば、あるいは集中力が10%変わればと考えると、その積み重ねはばかになりません。
コストパフォーマンスを考えれば、オフィスチェアを中古で購入することを推奨しますが、いったん選択のファクターを見てみましょう。

チェアのざっくりとした分類

世の中には非常に多くのチェアが存在するのですが、ざっくり以下の枠に収まるものが選択肢としてあがりやすいのではないでしょうか。

個人向けチェア
  • ・実売価格:5千〜2万程度
  • ・主なブランド:バウヒュッテ、YAMAZEN他楽天などで売られているモノなど

このクラスの特徴としては、デザインがハイエンドに似ており、メッシュやアルミポリッシュの部品を使用するなどクールなものが多いことでしょうか。機能的には基本的な上下昇降や、リクライニング機能を備えており、自分で組み立てが必要なケースが多いです。なお正直座り心地には期待しないほうが良いです。耐久性に少々不安あり。

オフィス向けチェア

・実売価格:2万5千〜5万程度(中古5千〜3万)
・主なメーカー:岡村製作所コクヨ、イトーキ、内田洋行など
定評あるメーカーからオフィス向け家具として販売されているものです。上記実売価格は楽天とかで個人が買える価格。定価は3〜4割増くらいでしょうか。デザインは、悪く言えばもっさりしたものが多く、安いものだと灰色の樹脂と青や黒のファブリックといったいかにもオフィス家具なものも。機能的には、個人向けのものに加え、無段階ロッキング固定や座面調整なども備えていることが多いです。耐久性は高く、中古商品が豊富に流通しています。

ハイエンドチェア

・実売価格:7万〜(中古3万〜)
・主なブランド:アーロンチェア、バロンチェア、リープチェアなど
価格による括りで、例えばバロンチェアなんかは上のオフィス向けで紹介した岡村製作所の製品です。機能美とも言えるクールなデザインと、人間工学に基づいた高い性能、調整機能を備えています。長期の保障がついていて一生モノとして使えることを考えると、必ずしも高いとは言えないのかもしれません。中古もそれなりに流通しています。

どう選ぶべきか

まずは、「予算」「用途」を明確にしましょう。
上記のようにチェアの価格には相当の開きがあります。実際問題、学生など所得に余裕がなければ数万は気軽に出せないでしょうし、勤め人も、休日たまにしか使わないものにそこまでお金をかけたくないのではないでしょうか。なお一つの目安として、1日の着座時間が2〜3時間を越えるのであれば上記個人向けは避けた方が良いかと思います。
用途も重要です。作業がメインなのか、リラックスしたいのかによってチェア側の前傾後傾やバックの高さが決まってくるのではないでしょうか。一般的には、読み書きメインなら前傾、PC作業メインなら後傾などと言われています。

それから「カタログスペックの確認」「実際の試座」を経て決定します。

カタログスペック

基本的な知識を身につけることで、カタログを見るだけでも大失敗は避けれるかもしれません。

価格

なんといっても価格。ぱっと見1万円以内のチェアでも十分な機能を備えているように見えますが、長時間作業をする人はこういった椅子は避けたほうがいいです。もちろん相性もありますので、試座や実際の使用で問題なければいいのですが。
でもウン万なんて…という人の唯一の解決策は中古の活用です。ここは下の経験談をご覧下さい。
なお同じ商品でも結構価格はバラツキはあるので、Amazonのチェックと楽天で型番または商品名検索くらいはしたほうがいいかもしれません。

調整性能

基本的な機能として、上下昇降があります。これがないのは本当に無理です。背が低い人は最低高にも注意。
次にリクライニング。ロック機構として、快適な順に、フリーロッキングか段階式ロッキングかロック不可能かという違いがあります。またリクライニング時の動作機構として、快適な順に、背面と座面の傾きや動きが調整されたシンクロロッキング、座面と背面の角度が固定されたまま傾くものなんかがあります。
個人向けだとここの機構はまちまち、実売3万程度のオフィスチェアだとフリーロッキング、シンクロロッキングはほぼ備えています。そのクラスだとこれに加えて、座面前後調節、アッパーチルト、リクライニング強度の調節といった細部の調整もモノによっては備えています。
肘置きは、固定式と高さ調整可能なものがあり、個人向けでの安価なものでも高さ調整可能なものがあります。また、オフィス向けではオプションとして選択できることがほとんどで、少々価格が変わります。
ハイエンドクラスになると、ランバーサポートやアーロンのポスチャーフィットなど独自の機構を備えています。

見た目

これは人によってはかなり重要な項目でしょう。
ハイエンドチェアの機能美ともいえるフォルムや、それを模して機構が貧弱な分スリムさを保っている多くの個人向けチェアは、都会的なデザインの部屋には本当にマッチします。ポップな雰囲気ならオフィスチェアのファブリックも、今はカラフルな選択肢があるのでなかないいんですけどね。

大きさ

ワーキングチェアはかなり大きいです。部屋のスペースや搬入用の入り口が気になる場合はあらかじめ確認しておきましょう。

実際に試座をしよう

さて、ここまで読むくらいチェアにこだわるならば、試座は是非すべきだと言わせてください。椅子にはそれぞれ基礎性能と、それに対する個人の相性が存在するからです。これらはカタログスペックからは読み取れません。
「基礎性能」は非常に曖昧な表現ですが、フレームの構造や、クッションの質により規定されるもので、これは価格帯にほぼ比例していると思います。感覚的なもので恐縮ですが、実売3万を越えるチェアには、ほぼ座ったときにしっかりと腰を支えてくれる感覚があります。力を入れなくても良い姿勢が保てる、とも言えるかもしれません。
その上に、個人の相性があります。例えば僕の場合、ふわふわしてる感じがしてメッシュチェアが好みではありません。
試座では、機会を得られるか、短時間で判断ができるかが問題になってきます。
少し情報が古いですが、こちらに試座ができる場所の一覧がまとめられています。
都内であれば、個人向けチェアはヨドバシAKIBAの品揃えが良く、上記オフィスチェアのメーカーは内田洋行をのぞき事前予約で見学できるショールームを持っています。ハイエンドチェアは大塚家具で試座が可能で、東急ハンズでも少しだけ取り扱いがありました。
長時間の試座は現実的には難しいですね。オフィスや図書館で利用できるといいのですが。こういった長時間の実利用体験は、相対的な判断の基準としてもかなり役に立ちます。

コクヨウィザード選択&使用レポート

実をいうと、今回ウィザードを買うまであまりチェアにこだわりはなく、家では適当に見た目で買い、オフィスではあるものを使っていました。
しかし、これまでの経験*1と、作業場のCX、家の椅子使用時を比べた生産性の差から、良いものを買おうと決意しました。
予算は特に定めていなかったのですが、直近の資金繰りの厳しさから漠然と5万以内でおさまるといいな、とは思っていました。使用用途はほぼPC作業ですが、メインがMBAなので前傾気味を希望。一番の基準はとにかく気持ちよく長時間作業*2ができることです。
で、普段作業でオフィス向けチェアを使っていたので、その座り心地を基準に、個人向けチェアやハイエンドチェアに試座して決める方向に。
まずはヨドバシAKIBAに行ってきました。ここには1万程度のものからバロンなんかの10万越えまで、20脚くらい展示されていたと思います。店員さんなし、人も多くなくて、結構のんびり試せますね。
で、どんどん座っていったのですが、これは!と思って値段を確認すると、6万とか8万とかのものばかり。2万程度のチェアはどれも無理な感じでした。この時点で、「個人向けチェア」は選択肢から消えました。
次いで新宿の東急ハンズと大塚家具に。「ハイエンドチェア」に座っていったんですが、どうもしっくりこない。メッシュが苦手なのもありますが、どうもCXの座り心地にすら及ばないように感じました。
しっかり調整したら違ったのかもしれませんが、僕の性格だとあまりゆっくりもできませんでした。これで8万とか出すのはきついな〜と「ハイエンドチェア」も今回の選択肢から外します。
で「オフィス向けチェア」を比較していたのですが、ここで初めて中古を検討してみました。すると安い!なんと定価が5万以上だったCXは6000円からあります。ここで一気に中古に目を向け始め、近場で実際に作業して気に入っていたウィザードが1万+送料で買えたので、購入にいたったのでした。
中古は状態が心配でしたが、機能は全て不備なく、気になる汚れやキズもありませんでした。現在のところ使用感に関して不満もありません。

是非中古のオフィス向けチェアをお試しください

今回強く印象に残ったのは、「オフィス向けチェア」の基本性能の安定感と、中古のコストパフォーマンスでした。
「オフィス向けチェア」では試座したもので「これはきつい」というものが皆無でした。前提として個人で種類を選べず、8時間労働が基本のオフィスで使われるから当然と言えば当然かもしれません。そして僕の感覚では、「ハイエンド」との座り心地の差は大きくありませんが、「個人向け」との座り心地の差は歴然としています。
そして中古ですが、僕が買ったものはきれいだし本当に状態がよさそうです。そして値段は「個人向け」の最安クラスと同等なのです。なお、今回中古をオススメするのは「オフィス向けチェア」で、ハイエンドの中古は保障期間や気持ちの面*3からあまりオススメしません。
ということで、4月に引っ越して初めて一人暮らしをする学生さんなんかは、是非中古のオフィス向けチェアを検討してみてください。僕は見てくれだけで買った安物チェアを4年間使い続けて、意志の弱さとあいまって「家では一切作業ができない体質」になってしまいました。
モノは所有して、長時間使って初めて価値や自分との相性が測れるようになるものです。将来自分にふさわしい「ハイエンドチェア」選びに失敗しないためにも、今のうちから安価に「いいモノ」に触れておくことをオススメします。

*1:僕の椅子使用歴は、謎の人工皮革のいす→?→オカムラバロン→?→オカムラCX→コクヨウィザードです。最初の人工皮革いすは本当にひどかったです

*2:ちなみに標準的な自宅作業時間は平日4時間、休日8時間程度です

*3:1万なら多少のキズは許せても、4万5万だと納得いかないこともあるでしょう